リコルスの港についた。
しかし、現在、港はアラセマ軍によって封鎖中だ。当然定期船も出ていないため、今は他島に渡ることは許されない。漁船の出港すらも許されないというのだから、いかに軍が神経質になっているかが解る。
うろうろと辺りを散策すると、港には暇を持て余した漁師や水夫の姿があちらこちらに見られた。桟橋に向かい、停泊した船を見上げるが、もちろん乗せてもらうことはできない。
「なんだ。定期船に乗りたいのか?」
と、船の上から声が聞こえた。甲板から、一人の水夫がこちらを見下ろしている。
「悪いが今、港は封鎖されてるんだ。神形器が見つかるまでは船は出せないぜ」
その通りだ。それならここに居ても仕方が無いようなものだが、一応あらゆる場所を訪れてみるのが探索の基本だ。多分。もしかしたら何か思いがけない発見があるかも知れないではないか。
「そうして待っていても船は出せない。……だが、しかし!」
水夫が声を荒げる。さすがは海の男、声が大きい。
「……ちょっと、そこで待ってな!」
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